2024年3月期IFRS決算Q&A 第4回(最終回) 気候関連コミットメント

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 野木 詳泰

( 24頁)

本稿では、IFRS会計基準ではないものの、IFRS適用企業の決算に影響する可能性があるIFRS解釈指針委員会(以下、「解釈指針委員会」)が公表するアジェンダ決定のうち、暫定的なアジェンダ決定の段階で確定したものではありませんが、関心が高いと思われる「気候関連コミットメント」について説明します。文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であり、筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。

Q1 暫定的なアジェンダ決定である「気候関連コミットメント」について、プロジェクトの背景を教えてください。

IASBは2023年3月より、維持管理プロジェクトとして「財務諸表における気候関連リスク」を立ち上げ、財務諸表における気候関連及びその他の不確実性の報告を改善することを目的とした議論を開始しました。その後、2023年9月のIASB会議において、利害関係者の懸念事項への対応策が議論され、気候関連コミットメントに対する負債の認識等について、解釈指針委員会に照会することが決定されました。この決定とは別に、解釈指針委員会は気候関連コミットメントに関して、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産...