役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<219> リベート着服代表取締役への対応(2)

 弁護士 小林公明

( 42頁)

前回(本誌 No.3648参照 )に続き、会社の乙に対する告訴や損害賠償請求等の対応につき述べる。

5 告訴

前記4(1)カでみたように、会社とすれば乙に対する告訴を検討するだろう。

以下これにつき述べる。

(1)告訴と被害届の違い

そもそも、告訴とはどういうものか。

被害届が被害者による単なる犯罪事実の申告であるのに対し、告訴は犯罪の被害者等の告訴権者(刑訴230~234)が捜査機関に対し犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示であるという違いがある(高橋和之ほか編「法律学小辞典(第5版)」(有斐閣)433頁)。

被害届や告訴がなされた場合に警察官がどう対応すべきかについては、犯罪捜査規範が以下のように定めている。

ここに、犯罪捜査規範とは、警察官が捜査を行うにあたって厳守すべき国家公安委員会規則であり(同規則3)、同規則は直ちに都道府県警察を拘束し(刑事法令研究会編「新版第2訂逐条解説犯罪捜査規範」(東京法令出版)4頁)、加えて警察官職務執行法は、警察官は法令とともに警察の規則による職権職務を遂行すべきものと定めている(8)。

(被害届の受理)第61条 警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつた...