ハーフタイム 仮説に惑わされない“プラグマティズム”
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ベルリンの壁崩壊後の資本主義については、“様々な欠陥はあるが他に選択肢がない唯一の経済システムだ”という肯定的なものから、“いつまで危機を先送りできるのか”という否定的なものまで様々な意見がある。いずれにせよ「金融不安定性」がグローバル経済を脅かす最大の課題だとすれば、財務内容の健全性を守るよう期待されている会計人はどう対応すべきであろうか。もちろん予想される将来の危険に備える会計には「保守主義の原則」や「慎重性の原則」はある(またはあった)が、過度に保守的になり慎重になりすぎては逆効果だから、広い視野と強い行動力を両立させる思考法を身につける必要がある。
西洋の哲学史は“経験か理性か、感覚か知識か、帰納法か演釋法か”を巡る葛藤の歴史だったが、米国の哲学 “プラグマティズム(実用主義)”の立役者W・ジェイムズ(1842~1910)は、“経験と感覚(直観)と帰納法を優先して活用すればより良い結論が得られる”と考えた。つまり、“理屈よりも実践、知識よりも行動”でありポイントは次の3点だ。①既成の大きな概念や先人が考えた理論の多くは仮説にすぎない。だが、人は手間を省きたいからそれに囚われ、多層...
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