新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第22回 原状回復義務と資産除去債務会計基準等適用に関する実務上の留意点

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 小田 勇樹

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建物などの賃貸借契約において、当該賃借建物に係る有形固定資産(内部造作など)を除去するといった原状回復が契約で要求されているケースが多いかと考えられます。このような将来の原状回復費用は除去に際して支出が求められることから、資産除去債務として計上が求められています。

近年物価や人件費の上昇に伴い、原状回復費用の見積額も同様に上昇傾向にあります。そのため、原状回復費用の見積りについて現状の経済環境下においても注意を払う必要があります。一方で、会社によっては原状回復費用に関する会計処理は馴染みのない業務であることから、決算業務において留意すべき点が漏れやすい論点となっています。

本稿では、企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」(以下「資産除去債務会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(以下「資産除去債務適用指針」という。)の定めに照らして、監査の現場から挙げられた相談をもとにQ&A形式で解説をします。

なお、本稿中の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことを予め申し上げます。

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