Q&Aコーナー 気になる論点(361) IASBによるのれんの公開草案(2)

‐減損テストの一部見直し‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が2024年3月14日に公表した公開草案(ED)「企業結合‐開示、のれん及び減損:IFRS第3号とIAS36号の修正提案」(コメント期限:2024年7月15日)(のれんED)では、2020年3月公表のディスカッション・ペーパー(DP)「企業結合‐開示、のれん及び減損」の予備的見解と同様に、毎年の減損テストの削除を提案しているのでしょうか。

のれんEDでは、DPへのフィードバックを検討した結果、毎年減損テストを実施するという要件の削除を提案しないこととしています。

〈解説〉

ディスカッション・ペーパーの予備的見解に対するコメント

2020年3月公表のDPでは、減損のみのアプローチを維持し、減損については、[図表1]の予備的見解を示していました 。減損に関して、のれんEDでは、以下のフィードバックがあったとしています。

(1)[図表1]の①については、一般的な同意が得られたが、多くの回答者は、IAS第36号「資産の減損」における減損テストの改善を提案した(BC9項(b))。

(2)[図表1]の②については、様々な見解があり、回答者は、bについて一般的に同意したが、aについ...