SSBJ事務局が答える サステナビリティ開示Q&A 第5回 欧州におけるサステナビリティ開示の動向は日本企業に影響を及ぼすのか

サステナビリティ基準委員会事務局 専門研究員 村山 華

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 欧州連合(EU)におけるサステナビリティ開示基準の動向を教えてください。

EUにおいては、「企業サステナビリティ報告指令」(CSRD)に基づき、「欧州サステナビリティ報告基準」(ESRS)という包括的なサステナビリティ開示基準の開発が進められています。ESRSは適用企業(大規模企業、上場中小企業、EU域外の親会社)等の分類に応じて異なる開示基準を定めることとされており、すでに最終化されている「セクター横断的基準」は2024年1月1日以後開始する事業年度より適用が開始されています。

解説

1.CSRDの発効

EUでは、「非財務情報開示指令」(NFRD)に基づき、企業の年次報告書に含まれるマネジメント・レポート等において、サステナビリティ関連情報を含む非財務情報の開示が以前より義務付けられていました。

2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロを目標とする「欧州グリーン・ディール」政策に基づき、2023年1月には新たな指令であるCSRDが発効され①、企業によるサステナビリティ関連情報の開示をより一層拡充するための、実効性のある取組みとして期待されています。CSRDの主な特徴は、以下のとおりで...