金融資産の減損に関する会計基準開発の審議状況と実務影響 第1回 ASBJにおけるこれまでの審議の振り返りと今後の想定スケジュール
有限責任 あずさ監査法人 金融統轄事業部 シニアマネジャー 公認会計士 今井 大介
はじめに
2021年8月に企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan:以下、ASBJ)において金融資産の減損に関する会計基準の開発が開始され、間もなく3年が経過する。その間、新型コロナウイルスによる感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻といった信用コスト・償却引当に重要な影響を与える世界的な情勢変化もあり、現行の日本基準と国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards:IFRSR Accounting Standards、以下、IFRS会計基準)の償却引当実務や引当額の相違なども注目を集めている。
ASBJで開発中の金融資産の減損に関する会計基準は、リーマンショックを契機に開発されたIFRS第9号「金融商品」の予想信用損失(Expected Credit Loss:以下、ECL)モデルを基礎としており、後述する相対的アプローチの採用、将来予測情報の考慮や複数シナリオに基づく結果の確率加重の設定、貨幣の時間価値の考慮など、邦銀の償却・引当実務では、通常は考慮されていない事項が多く、データ整...
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