会計知識録 第34回 アセットライト経営は正解なのか?
~企業の会計・財務活動を解読~
公認会計士 溝口 聖規
( 50頁)
アセットライト経営とは
アセットライト経営とは、資産(asset)の保有を抑えて、財務を軽く(light)することを目指す経営をいいます。具体的には、工場などの製造設備を自社で保有せずに外注を活用する、航空機や自動車などの事業用資産をリースにより調達するなどの取り組みです。
従来、日本企業の多くは事業に必要な資産を自社で保有しましたが、最近では、西武ホールディングス、近鉄グループホールディングス、味の素、旭化成、花王、LIXILなど、アセットライト経営を目指す企業が目立つようになりました。
なぜ多くの企業がアセットライト経営を目指しているのでしょうか? 今回は、アセットライト経営のメリット・デメリットについて、事例を紹介しながら説明したいと思います。
アセットライトの目的
アセットライト経営では、委託費や賃借料などのように費用を必要に応じて支払うため、減価償却費などの固定費を減らすことができます。また、資産を購入する際の資金を調達する必要がなくなります。
財務指標の面では、資産の保有を抑えることによりバランスシートを軽くすることができるため、総資産利益率(ROA)や投下資本利益率(ROIC)の改善...
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