不正を見抜くデータ監査 第2回 インパクトが大きい売上不正
公認会計士 坂井 俊介
( 30頁)
1.売上プロセスの業種別考察
「第1回 内部統制の弱点を突く不正経理」(本誌No.3664)で述べたとおり、売上の不正に関しては、まず売上計上プロセスの理解が出発点になる。製造業であれば、出荷の事実に基づき売上計上が行われる。サービス業などでは、役務の履行事実に基づき売上計上が行われる。このような売上計上のトリガーを誰が入力するのか?工場の物流担当者が出荷事実に基づいて入力するのか?営業担当者が根拠資料に基づいて入力するのか?経理担当者が販売データに基づいて入力するのか?それらの状況によって、不正の機会は大きく影響を受ける。
売上計上にインセンティブを持つ営業部門が売上計上できる仕組みであれば、不正の機会は多いといえる。なお、営業部門が直接売上計上できなくとも、内部結託や取引先との通謀により売上の架空計上が行われる場合もある。売上不正は、架空売上、水増し売上、先行計上など様々なパターンがあるが、粗利の過大計上を目的としているので、売上金額自体の規模は大きくなる場合が多い。また、内部統制の弱点や盲点を確認しながら実行されているので、複数年度にわたっている場合も多い。
業種によって、売上計上の基...
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