我が国のサステナビリティ開示基準の導入に向けた実務動向<後編>

有限責任監査法人トーマツ 監査・保証事業本部 非財務・サステナビリティ保証統括 パートナー 
 公認会計士 小口 誠司

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各社からの問い合わせに関する回答

SSBJ基準の適用にあたっては、多様な課題があることがアンケート結果等で浮き彫りになりました。そのような中で、各社から多くのご質問を頂いております。そこで、頂いたご質問及び回答の一部をご紹介いたします。

質問1:なぜ、サステナビリティ報告の義務化が検討されるようになったのでしょうか?

サステナビリティ報告の重要性が以下の要因により大きく高まりました。その結果、我が国でもサステナビリティ報告の義務化が検討されることとなりました。

①気候変動問題等に関する危機感の高まり

気候変動や資源枯渇、生物多様性の喪失などの問題が深刻化する中、企業は環境保護と持続可能な発展に向けた行動を求められています。例えば、パリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)などの国際的枠組みに基づき、企業は自らの環境・社会的影響を踏まえ、環境・社会などのサステナビリティ要因が自社の持続可能性にどのように影響するかを評価し、サステナビリティ報告をすることが不可欠な状況となりました。

②投資家のサステナビリティ報告に関する関心の高まり

前述①に伴い、投資家は企業のサステナビリティ情報を重視するようになり、近...