Q&Aコーナー 気になる論点(370) FASBの測定に関する概念フレームワーク

‐IASBの概念フレームワークとの異同‐

早稲田大学 大学院会計研究科 教授 秋葉 賢一

( 32頁)

 米国財務会計基準審議会(FASB)が2024年7月12日に公表した財務会計概念書(SFAC)第8号「財務報告のための概念フレームワーク:第6章 測定」(以下「FASB概念フレームワーク」又は「第6章」という)は、国際会計基準審議会(IASB)が2018年3月に改正した「財務報告に関する概念フレームワーク」(以下「IASB概念フレームワーク」という)と、どのような点が異なるのでしょうか。

FASB概念フレームワークでは、入口価格系と出口価格系の2つの測定体系を示し、その選択は、企業にとって固有の価格となるかに基づくこととしています。IASB概念フレームワークでは、諸要因を考慮することが重要となるとしています。

〈解説〉

FASB概念フレームワーク(1)‐概要

FASBは、IASBとの共同プロジェクトにより、2010年9月にSFAC第8号第1章と第3章を公表し、その後、単独でこのプロジェクトを行っており、2023年12月公表の公開草案 を経て、2024年7月公表の第6章をもってSFAC第8号を完成させています。

第6章では、レリバントで表現として忠実な2つの測定体系(measurement s...