役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<225> 取締役のカスハラ対応(1)
弁護士 小林公明
定時株主総会終結の時をもって退任予定の代表取締役社長は、取引を急拡大させたという高い評価の陰に、カスタマーハラスメント対応を求める社内役職員からの意見を一切無視してきたとの声も強いところから、慰労金議案をどうすべきか取締役間の意見が分かれている。
どう考えるべきか。
1 結論
会社は、慰労金支給の株主総会(以下「総会」)決議の前に、カスタマーハラスメントへの当該代表取締役の対応が「その任務を懈怠し」「重大な過失により」「会社に多大な損害を与えた場合」等の慰労金内規の減額不支給条項に該当するか否かの調査を先行し、取締役会でその調査結果を踏まえ、総会に慰労金議案を付議するか否か及びその内容を決すべきである。
2 カスハラの現状
(1)法制化
現在、カスハラ(customer harassmentの略。和製英語といわれるが以下単に「カスハラ」。ただし引用資料等の表記はそのままとする。端的には「顧客等からの著しい迷惑行為」であるが、その正確な定義は後述する。以下パワーハラスメント及びセクシュアルハラスメントについてもそれぞれ「パワハラ」及び「セクハラ」と略称する。)対策の法制化の動きが急であるが、令和6年...
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