企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の概要 第2回 借手の会計処理

企業会計基準委員会 専門研究員 松下 洋

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本稿(第2回)では、リース会計基準等 の概要のうち、借手のリースの会計処理について紹介する。

なお、文中の意見に関する部分は筆者の私見であり、ASBJの見解を示すものではないことをあらかじめ申し添える。

Ⅲ.リース会計基準等の概要(つづき)

5.借手のリースの会計処理

(1)リース開始日の使用権資産及びリース負債の計上額

企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「企業会計基準第13号」という。)では、リース資産及びリース債務の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース契約締結時に合意されたリース料総額からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除する方法によるとしていた。

リース会計基準等では、国際財務報告基準(IFRS)第16号「リース」(以下「IFRS第16号」という。)の定めと同様に、借手は、使用権資産について、リース開始日に算定されたリース負債の計上額にリース開始日までに支払った借手のリース料、付随費用及び資産除去債務に対応する除去費用を加算し、受け取ったリース・インセンティブを控除した額により算定することとしている( リース会計基準第33項 )。

また、リース負債...