会計知識録 第36回 中期経営計画は本当に必要なのか?
公認会計士 溝口 聖規
上場企業の多くは、決算発表と同時に来期の業績予想を公表します。東京証券取引所の「2024年3月期決算発表状況の集計結果について」(本年6月公表)によれば、2024年3月期の決算発表時においては、3月決算企業の95.9%に当たる2,167社が業績予想を開示しました。また、単年度の業績予想に加えて、3年程度の中期的な事業計画を公表する上場企業も多くみられます。日本IR協議会の「IR活動の実態調査」(本年5月公表)結果によれば、IR実施企業の中で「中期経営計画」を「策定し公表している」企業の割合が74.9%(前回2022年度は70.0%)、「策定しているが非公表」が12.4%(同14.9%)、「策定していない」が8.4%(同7.8%)であったとのことです(図表1)。中間経営計画は、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)補充原則4‐1②においても、株主に対するコミットメントの一つであるとされています。日本企業にとっては自社の戦略遂行、また、投資家等とのコミュニケーションにおいても重要な手段と言えるでしょう。
ところが最近、中期経営計画の公表を中止する企業が増加傾向にあり、また、そうした企業...
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