役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<226> 取締役のカスハラ対応(2)
弁護士 小林公明
前回( 本誌3677号参照 )は、質問との関係で、カスハラ問題の解決が企業社会の喫緊の課題となっている状況及びそもそもカスハラとは何かを知るため、カスハラ対策の法制化に向けての動向とその発生状況及びカスハラの3要素等を述べた。
今回は、裁判例が対策企業マニュアルを重視し、カスハラの放置が取締役のパワハラと認定され、その行為が慰労金内規の減額不支給条項に該当し得ること及びそれらを踏まえ会社の在るべき対応等につき述べる。
4 対策企業マニュアルと裁判例
カスハラに関する事案を扱った裁判例は既にいくつか出ているが、そのうち質問に関するものを取り上げて述べる。
(1)裁判例Ⅰ(東京高判令4.11.22判例秘書L07720645。以下「裁判例Ⅰ」)の検討
裁判例Ⅰの舞台は会社のコールセンター、主役はその担当者(コミュニケータ)、舞台状況(コールセンターの対応状況)は次のようである。
第3 当裁判所の判断(中略‐筆者注)「(2)また、一般に、セクシャルハラスメントやカスタマーハラスメントとみるべき視聴者の発言に対し、組織として毅然とした対応をとることは必要というべきであり、視聴者から理不尽かつ不合理な言動が執拗に...
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