IFRSをめぐる動向 第165回 動的リスク管理に関する最近の検討状況
PwC Japan有限責任監査法人 公認会計士 川西 昌博
1.はじめに
本連載は、主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議における討議内容に基づき、IFRS会計基準をめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。本稿では、IASBにおける動的リスク管理(DRM:Dynamic risk management)に関する最近の検討状況として、2023年10月から2024年10月までに開催されたIASB会議における議論の概要を取り上げます。なお、文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であることをあらかじめお断りします。
2.背景
IASBは、オープン・ポートフォリオや純額での動的リスク管理に対して、現行のIFRS第9号「金融商品」におけるヘッジ会計の要求事項を適用することの困難さを認識しており、次表の用語を用いて、銀行の金利改定リスクに対する動的リスク管理に関する会計処理を議論しています。
用語内容現在の正味オープン・リスク・ポジション(CNOP: Current net open risk position)金融資産・負債(コア要求払預金負債を含む)及び将来取引の契約又は予想キャッシュ・フローから生じる期間バケットごとの金利リスク・ポジション目標プロ...
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