Q&Aコーナー 気になる論点(377) 自社利用ソフトウェアの会計処理(2)

‐SaaSを利用する場合‐

早稲田大学 大学院会計研究科 教授 秋葉 賢一

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 クラウドサービスの1つとして、ベンダー(サービス提供者)がサーバーにあるソフトウェアをサービスとして提供し、ユーザー(顧客)が利用するSaaS(Software as a Service)において、ユーザー側は、自社利用のソフトウェアとして会計処理するのでしょうか、又は、2024年9月に公表された企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」を適用するのでしょうか。

SaaSでは、一般に、ベンダーが不特定多数のユーザーに対してサービスを提供しているため、そのいずれの会計処理でもなく、ユーザーは、そのサービスの利用に応じて支払う利用料を、その発生に応じて費用処理することになると考えられます。

〈解説〉

クラウドサービスとSaaS

日本公認会計士協会(JICPA)が2022年6月に公表した会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」Ⅰ3において、「クラウドサービス」とは、ネットワークを通じてコンピュータリソースを提供するクラウド・コンピューティングの形態で提供されるサービスをいうとし、ベンダー(サ...