不正を見抜くデータ監査 第6回 証憑は揃っている!…商社不正
公認会計士 坂井 俊介
1.商社の特徴
商社は、鉄鋼、繊維、水産、建設資材、電子材料、ソフトウェアなど幅広い業種に存在している。
営業担当者(以下、単に「担当者」と称す。)は、商品企画から受注、仕入発注、加工委託、出荷指図までの一連の業務を取り仕切っている場合が多く、仕入計上や売上計上、在庫管理、さらには債権回収まで担っている場合もある。
裁量範囲が広く、仕入先や加工委託先、在庫預け先、さらには得意先との間で、個人的なつながりが形成されやすく、不正実行者にとって外部協力者を得やすい状況がある。
多くの場合、担当者には売上や利益達成の目標が割り当てられており、売上の水増し計上や損失隠しへのインセンティブは高いといえる。営業担当者は正社員の場合もあれば、嘱託社員や成果報酬型の契約社員の場合もある。
一方で、通常は、営業部門の部課および担当者に対するモニタリングの仕組みが充実している。会社は、与信管理を導入し、部課ごと、担当者ごとの業績管理を充実させ、異常な売上高、仕入高、経費および売上債権、仕入債務、在庫の動きをいち早く察知できるような体制にしている。また、在庫管理や証憑管理、売上・仕入計上を管理部門の担当にするなど、各社...
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