<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第123回 リース(2)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
蒸気機関の発明
今日のような便利な社会があるのは、イギリスにおいて蒸気機関が発明され、それが産業革命につながり、工業が発達したからだと中学の歴史で習った。もしあの頃に蒸気機関が発明されていなかったら、今も中世のような社会が続いていたかもしれないとも教わった。確かに古代ローマ時代の遺跡などを見ると、立派な建築物があり、現代との違いは蒸気機関などの動力源があったか、なかったかだけの違いのようにも思える。そう考えると、地球温暖化の話は別にして、蒸気機関が発明された後の世に生まれてきてよかったと思う。逆に古代ローマ時代に蒸気機関が発明されていたら、人類の進化は1,000年以上早かったのかもしれないとも思った。
ところが、実は古代ローマ時代に蒸気機関が既に存在していたことが判っている。1つは、アイオロスの球というもので、金属製の丸い球体の中に水を入れ、それを熱することで蒸気を吹き出させ、くるくる回るようにしたものだ。これだけだとたいしたことはないが、蒸気の力を利用した大掛かりな自動ドアも存在した。神殿の扉の前の祭壇に火を灯すと、その火力で空気が膨張し、その空気圧で祭壇の下に仕掛けられたタンクの水を押...
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