IFRS任意適用企業が新リース会計基準を適用するにあたっての留意点

PwC Japan有限責任監査法人 公認会計士 山田 善隆
 公認会計士 梅谷 正樹

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はじめに

2024年9月に企業会計基準委員会(ASBJ)から 企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」 (「リース会計基準」)および 企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」 (「リース適用指針」、以下、合わせて「新リース会計基準」という。)が公表され、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用される(早期適用可)。新リース会計基準はIFRS第16号「リース」との整合性を図るものであるが、リースの識別や借手のオペレーティング・リースなどの取扱いにおいて現行の日本基準から変更があり、適用準備のための工数や財務上の影響などが大きい場合があることから、入念な適用準備が求められる。一方、連結財務諸表においてIFRS会計基準を任意適用している企業(以下、「IFRS任意適用企業」という。)にとっては、主にリースの借手としての取引について、IFRS第16号による連結財務諸表上の会計処理と新リース会計基準の適用による個別財務諸表上の会計処理を整合させることができる可能性がある点でメリットもあり、一部企業における早期適用のニーズも聞かれている。

そこで、本稿...