2025年3月期日本基準決算Q&A 後編(有報開示等)

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士  戒能 唯

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※文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であり、筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。

Q1 2025年3月期の有価証券報告書において適用される、企業内容等の開示に関する内閣府令等の主な改正内容を教えてください。

(1)「重要な契約等」の開示

2022年6月に公表された「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」において、個別分野における「重要な契約」について、開示すべき契約の類型や求められる開示内容を具体的に明らかにすることで、適切な開示を促すことが考えられるとの提言がなされたことを踏まえ、有価証券報告書の記載事項について以下の改正が行われています。

①企業・株主間のガバナンスに関する合意

有価証券報告書の提出会社(提出会社が持株会社の場合には、その子会社を含む。)が、提出会社の株主との間で、以下のガバナンスに影響を及ぼし得る合意を含む契約(重要性の乏しいものを除く。)を締結している場合、当該契約の概要や合意の目的及びガバナンスへの影響等の開示が求められます。

(a)役員候補者指名権の合意

(b)議決権行使内容を拘束する合意

(c)事前承諾事項等に関する合意

(企業内...