不正を見抜くデータ監査 第9回 仕訳データの活用
公認会計士 坂井 俊介
( 32頁)
仕訳データは、借方、貸方の勘定科目を用いた仕訳という形式で財務取引を記録したデータである。BS、PLなどの財務諸表や総勘定元帳などの会計帳簿を作ることが目的であるが、その他にも様々な用途に活用できる。
仕訳データを活用した異常値検出の手法は概ね次のとおりである。
(1)仕訳項目の属性分析入力者や承認者、データソースや仕訳種別、入力日時、伝票番号、金額、取引先、摘要欄の記載など、仕訳に入力する項目の内容自体の異常性に着目して個々の仕訳を分析する。
例えば、経理担当者が売上入力している場合や営業担当者が資金取引をしている場合、入力者と承認者とが同一人物(自己承認)で入力をしている場合、取引先が会社ではなく個人との間で営業取引または資金取引をしている場合など、会社組織として不自然な仕訳の有無について確認する。
企業結合や減損、損失引当金の計上など臨時多額の仕訳も確認対象となる。
(2)勘定科目の内訳・増減分析会計システムの中で補助科目や部門、担当者、取引先といった情報をフィールド項目としてもっている場合は、様々な角度から、勘定科目の内訳分析や増減・月次推移分析を行うことができる。例えば、販売費の取引先...
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