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国際税務研究 ベンチャー企業が共同事業目的の株式交換により外資系内国法人の完全子会社となる場合の課税関係

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 124頁)

設例

 日本法人であるA社は,5年程前まで大手輸送機器メーカーであるB社のAI関連開発事業部において共に中心的な技術者であったC氏とその部下であったD氏とが前後して同社を退職し,その共同出資(出資比率5:5)により設立し,C氏が社長,D氏が副社長を勤めるAI機器開発関連のベンチャー企業であるが,両氏の卓抜した開発技術力と経営手腕により,その後順調に業績を伸ばし,現在では優秀な若手技術者を100名近く擁する業界有数の中堅企業に成長している。

  このような状況の下で,最近,内外の投資ファンドやAI関連に注力する大手・中堅の諸企業からM&Aや資本提携などを打診する引合いがとみに増加している。

A社のオーナ...