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OECD 「新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に関する移転価格執行ガイダンス」の概要

KPMG税理士法人 パートナー・税理士 水野 正夫
 パートナー・税理士 藤原 拓哉

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1 はじめに

OECDは,2020年12月18日に「新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に関する移転価格執行ガイダンス」 (以下「本ガイダンス」という)を公表した。

今般のコロナ禍における著しい経済状況の変動は企業業績に多大な影響を及ぼしており,多くの企業が減収減益となっている。渦中の業績の変動を移転価格税制上どのように評価すべきかについては,多国籍企業にとって最も関心の高い項目の一つとなっている 。このような中でOECDが一定の見解を示したことは,税務当局,および納税者にとって移転価格分析を行う上での指針として大いに参考になるものと思われる

本ガイダンスは,課税の確実性を高めることを目的と...