※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

新任社員のための国際税務の仕組みとポイント 第14回 タックス・ヘイブン対策税制①( 制度の概要)

 公認会計士・税理士 佐和 周

( 114頁)

連載第1回 では国際税務を二重課税の問題と整理しました。この二重課税の中には,日本企業とその海外子会社が(グループで見て)二重課税されるパターンがあり,そのような税制として, 前回 までに移転価格税制などを確認しました。今回は,同じタイプの税制として,タックス・ヘイブン対策税制(2017年度税制改正後の新制度)について解説します。

1.タックス・ヘイブン対策税制とは

タックス・ヘイブン対策税制とは,低税率国に所在する海外子会社を利用した租税回避行為を防止することを目的として,低税率国の海外子会社の所得を日本親会社の所得と合算して,日本で課税する税制をいいます。このタックス・ヘイブン対策税制は,「外国子会社合算税制」と呼ばれることもあります。

細かな議論を抜きにしてシンプルにいうと,タックス・ヘイブン対策税制による合算課税のイメージは図1のとおりです。ケイマン諸島にある子会社がタックス・ヘイブン対策税制の適用対象となり,日本親会社に対して合算課税が行われた場合,イメージとしてはケイマン子会社の所得に対して,日本親会社が日本の法人税等を課税される形になります。

図1 タックス・ヘイブン対策税制による合算...