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[全文公開] 編集室だより

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今号の特集は「 タックスヘイブン税制の申告実務 」になります。新タックスヘイブン税制のもとでは,外国関係会社が,現地で連結納税やパススルー課税など,「企業集団等所得課税規定」を適用している場合,適用対象金額,租税負担割合,外国税額控除の計算に当たっては,これら連結納税・パススルー課税規定の適用はないものとして計算することが明らかにされました。本稿では,これら企業集団等所得課税規定が適用されている外国関係会社に係る事例も収録しています。また,国際税務データベースには「Web動画」もUP予定です。著者の橋本秀法先生に本稿を用いながら分かりやすく解説いただきます。P・R会員の皆様におかれましては,ぜひ動画もご覧いただき今期の申告にお役立てください(Y・Y)。

ベトナムにおいて,昨年の11月に関連者取引に関する政令132号が発表され,移転価格に関する点なども含めたいくつかの改正が行われています。この中では,例えば,移転価格分析上の独立企業間価格レンジの下限値が,従前の第25百分位から「第35百分位に引上げ」されたことなど移転価格分析に関して留意が必要な内容なども含まれています。また,利息費用の損金算入制限額の規定を従前のEBITDAの20%から「30%に引上げ」する改正も行われています。同改正は既に昨年12月20日から施行され,2020課税年度から適用されるため,関係する企業では影響の検討が必要となる場合も考えられます。本号掲載の「 ベトナムの関連者取引(移転価格など)に関する政令132号の施行 」では,改正の主要論点について解説していますので,影響検討の一助として,是非ご参照下さい(A.K)。

今号の domestic news でも触れておりますが,国税庁より2月2日,「令和元事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要」が公表されました。非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換する,いわゆるCRS情報の件数が大きく増加していることが特徴です。平成30事務年度は,新規口座及び残高1億円超の個人の既存高額口座が交換対象でしたが,令和元事務年度以降は,個人既存低額口座及び“法人既存口座”も交換対象とされたことが増加の大きな要因といえます。本誌でも既報のとおり( 2021年1月号P11 ),法人税調査においてもCRS情報が活用され,タックスヘイブン税制の適用回避事例などが把握されています。個人のみならず法人においても調査で積極的に活用されており,今後の動向も注目されます(Y・Y)

次号(2021 No.4予告)

グローバル企業の取組みから学ぶ! 税務リスク管理の手法

※一部変更となる場合があります。