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新任社員のための国際税務の仕組みとポイント 第15回 タックス・ヘイブン対策税制②( 問題になる場面)

 公認会計士・税理士 佐和 周

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今回も前回に引き続き,グループ内の二重課税を引き起こす税制のうち,移転価格税制と並んで重要な税制であるタックス・ヘイブン対策税制を解説します。

1.前回のまとめ

前回 見たとおり,タックス・ヘイブン対策税制とは,低税率国に所在する海外子会社を利用した租税回避行為を防止することを目的として,低税率国の海外子会社(外国関係会社)の所得を日本親会社の所得と合算して,日本で課税する税制をいいます。制度の概要は 前回 お伝えしましたが,ややこしい話なので再度まとめると,図1のとおりです。

図1 タックス・ヘイブン対策税制の全体像(再確認)

例えば,ケイマン諸島などに保有するペーパー・カンパニーは,「外国関係会社」のう...