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アングル 米国の遺言制度とその執行

  川田 剛

( 80頁)

はじめに

日米相続法でもふれたように,コモンロー(英国法)の流れが主流となっている米国私法の下では,「遺言の自由(freedom of testament)」は,「財産処分の自由(freedom of disposition of property)」と並んで,私法体系の根幹部分となっている。

遺留分との関係

ところで,「遺言」の自由を認めた場合,「遺留分」との関係,なかでも配偶者と子供に遺留分のようなものを認めるかどうかが問題となってくる。

(配偶者)

この点について,多くの州では,配偶者に遺言どおりの取得分を認めるか,選択的相続分(ニューヨーク州の場合,法定相続割合の3分の1(遺留分に相当する権利)...