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外国子会社合算税制における税務(12) 29 外国関係会社における「本店所在地国」の意義

  秋元 秀仁

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【Q】

P社(内国法人:3月決算)は,英国に完全支配の関係にある外国関係会社(R社:12月決算)を有しています。

R社は,P社が完全出資する外国子会社Q社[香港法人:12月決算]を介した間接100%出資の外国孫会社になります。

P社は,英国のEU離脱[Brexit](2020.1.31[GMT])を契機として,その外国孫会社であるR社の欧州における事業への影響を回避する目的から,外国子会社であるQ社(香港法人,外国関係会社)を介して,新たに完全支配の関係(間接100%出資)にある外国孫会社(S社:12月決算,外国関係会社)をオランダ国に設立した上,当該S社を合併法人,英国法人R社を被合併法人とする合併(吸収合併)を行いました。

当該S社(合併法人)は,オランダ国の会社法を準拠法として設立された法人で,我が国の「株式会社」に相当する事業体であることを前提とします。

本合併の主たる目的は,英国に実態を有するR社は,従来からEU法上の製品輸出入管理規制において「importer(輸入者)」としての資格を有しながらEU域内において自由に製品の販売を行っていました(自由貿易促進措置の適用対象)が,これが英...