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TP Controversy Report〈47〉 移転価格と関税

EY税理士法人  大平 洋一
EY税理士法人  竹内 茂樹

( 110頁)

輸入関税が課される製品をグループ企業間で取引している場合,悩ましい問題が発生します。輸入関税は輸入製品の評価額に対して関税率が適用されることから,輸入関税と移転価格の問題は真逆の関係にあります。即ち,移転価格では輸入価格が高すぎるのではないかといった調査が行われるのに対し,輸入関税の調査では逆に低すぎるのではないかといった調査が行われます。

こういった問題に対して,どのように対応していけばよいのか,制度的な背景を含めて解説していきます。 本シリーズ前回の第46回 でトピックとした価格調整金も重要なポイントとなります。なお,以下で説明する我が国関税評価制度は,他国においても基本的にWTO協定に沿っていますので,(詳細な執行方法は別としても)制度の基本的な内容は似ています。

1 移転価格税制と相違する関税評価制度

(1)関税評価制度の骨格

輸入関税額は,原則として「課税価格(課税標準)×関税率」という式で...