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国際税務研究 条約非課税所得がある外国子会社に係る合算課税適用除外要件と外国子会社配当益金不算入

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 115頁)

設例

1 日本法人であるA社は,世界各国に多数の外国子会社等を設けて事業展開を図っているが,いずれも独立して事業を営む企業実体のある法人であって,かつ,その租税負担割合(実効税率)が30%以上であるものばかりであったため,これまでA社をはじめとするグループ内法人がこれらの外国子会社等の所得について,いわゆるタックス・ヘイブン税制(外国関係会社合算税制)による合算課税の適用を受けたことはなかった。

ただし,これらの外国子会社等のうちの1つであるB国法人のC社(A社グループの日本法人で100%出資。A社単独では80%)は,これまでA社グループの法人との間の取引の比重が大きかったことから,タックス・ヘイ...