実務家のための消費税 輸入・輸出・内外判定Q&A 第201回 免税事業者が課税貨物を輸入する場合の課税事業者選択の判断
税理士 上杉 秀文
Q
副業として,外国から商品を輸入して販売する事業を行います。商品は消費者が興味を持つ趣向品で,これをいわゆるネットで販売し,商品は宅配便により配達します。 事業規模としては年換算で500万円程度の仕入で800万円程度の売上を見込んでいます。 商品を輸入する場合には通関段階で消費税が課税されますので,その前払いした消費税を取り戻すため課税事業者の選択をすべきかどうかの判断に迷っています。 ネット販売について税務署も注目しているような新聞記事をみますので,正当な手続で行いたいと思っており,私の事業規模程度の場合に課税事業者を選択する場合としない場合の消費税の課税はどのようになるのか,また,注意すべき点としてはどのようなことがあるのかについてご教示ください。 |
A
課税貨物の輸入は,消費者や免税事業者が輸入する場合にも消費税が課税されます。事業者が輸入の際に支払った消費税は,売上に係る消費税額から控除して精算しますが,免税事業者は売上に係る消費税額は発生せず,仕入に係る消費税額の控除も認められません。ご質問の事業規模の場合,通常,免税事業者の輸入等に係る消費税額は売上に係る消費税額より少額であり,免税事業者のまま維持する方が有利となります。ただし,開業時に相当額の設備投資を必要とする場合や国外の顧客に対する売上も発生する場合には課税事業者を選択した方が有利な場合も発生します。
解説
外国から貨物を輸入す...