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新任社員のための国際税務の仕組みとポイント 第18回 法人税から離れて③(消費税の問題)

 公認会計士・税理士 佐和 周

( 122頁)

第16~18回は少し法人税から離れて,所得税や消費税といった税目を解説しています。 前々回 が申告所得税, 前回 が源泉所得税でしたが,今回は消費税について解説します。

1.どのような場面で消費税が問題になるか

海外取引について消費税が問題になるのは,まずは自社が売上側の場合に,請求書を発行する局面です。具体的には,「得意先である海外企業に消費税も併せて請求する必要があるかどうか」を考えることになります。

逆に,自社が仕入側の場合に,請求書を受け取り,支払いを行う局面においても,「海外企業からの請求書に含まれる消費税を本当に支払う必要があるかどうか」(及び「仕入税額控除の対象になるかどうか」)という判断は必要になります。しかしながら,この場合の消費税の取扱いは基本的には(請求書を発行する)仕入先の側で判断すべきことなので,ここでは,自社が売上側の場合に,消費税の請求の要否を判断する局面を中心に解説します(図1参照。ただし,例外としてのリバースチャージ方式について,後述6.参照)。

図1 消費税が問題になる局面

2.海外取引に関する消費税の考え方と検討の手順

まず,海外取引に関する消費税の検討の手順を見てい...