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[全文公開] 編集室だより

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◆これまで,日本親会社と外国子会社との取引では,第三者と交わすような契約書を作成する必要性は少ないとされてきました。しかし,会員読者企業への取材から,最近は,重要な親子間取引について,税務担当者が積極的に関与して「親子間契約書」を整備しようとする動きがあることが分かりました。契約書を整備することで,より有効な移転価格対応だけでなく,税務リスクマネジメントの向上や外国子会社に対するコントロールの強化にもつながるからです。本号から3回にわたって,井上康一弁護士による 「親子間契約書は必要か有用か」 として,契約書のメリットが発揮されるにはどのように整備を進めていけばよいのか,そのポイントを紹介します。今回のテーマのエッセンスは,Webセミナー(7月14日(水)10:00~11:30)でもお届けする予定です。(S.N)

◆令和3年度税制改正では,租税条約届出書の提出手続きの電子化が盛り込まれました。令和3年4月1日以後,一定の場合には,非居住者及び外国法人は,源泉徴収義務者に対して条約届出書等に記載すべき事項を電子メール等により提供することが可能になるとともに,それを受けた源泉徴収義務者も税務署への提出手続きについて,租税条約届出書等をPDFに変換してe-Taxで送信することが可能とされました。 今号の特別解説 では,英国法人が使用料を受け取る事例を用いて,租税条約届出書への記載例,e-Taxでの送付方法について詳解いただいています。実務でお役立ていただけますと幸いです。(Y.Y)

◆EU各国において,「国境を跨ぐ特定の取引に係る税務上のアレンジメント」について義務的開示が要求され,対象となる取引は税務当局への報告が必要となるルール(DAC6)が,多くの国で本年からスタートしています。このDAC6に係る報告は,原則的にはアレンジメントの仲介者が行うとされていますが,一定の条件下では,報告義務が関連納税者(つまり企業等)に移転する可能性があります。今号掲載の特集 【欧州における義務的開示ルール(DAC6)の概要と日系企業における留意点】 では,「どのようなアレンジメントについて報告義務が生じるのか」,「報告義務者は誰になるのか」,「報告すべき内容」などについて,オランダを中心とした実例なども含め,解説しています。EUにおける新ルールへの対応検討の一助として,是非,ご一読下さい。(A.K)

次号(2021 No.8)予告

令和3年度の国際課税関係の改正について 他

※一部変更となる場合があります。

お詫びと訂正

 2021年3月号の特集 「令和3年3月期の申告対応 タックスヘイブン税制の申告実務」 の29頁,別表十七(三の十一)の「38」欄において,「外国法令に〇(外国法令を囲む)」とされていますが,正しくは外国法令ではなく,「本邦法令に〇(本邦法令を囲む)」です。この訂正による他の記載項目への影響はありません。お詫びして訂正いたします。