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月刊「国際税務」創刊40周年記念解説 経済のデジタル化とBEPS対処 <最終回>

国税庁 企画課 海外税務分析官 古川 勇人
(前 国税庁 調査査察部 調査課長) 

( 38頁)

5月号 からお届けしてまいりました「経済のデジタル化とBEPS対処」ですが,今号が最終回となります。本稿では,今後のBEPS対処について解説いただきます。

(編集部)

1.現行のBEPS対処 5月号
2.「利益A」課税 6月号
3.IIR課税 7月号
4.今後のBEPS対処 今月号

4 今後のBEPS対処

今後のBEPS対処につき,上記1,2,3を踏まえ検討すれば,次のとおりである。

4-1 企業グループの状況

経済のデジタル化の下,企業グループの状況については,次のようにいえる。

  • ① 企業グループの高収益性の要因として,「関係」の重要性が高まっている。
  • ② 企業グループを構成する法人が一体的に事業を進めるとの面が強まっている 47
  • 4-2 現行税制の問題

    上述のような状況のなか,現行税制は,法人・PEに着目し,また取引に焦点を当てている点で個別的な対処といえ,このことから,現行税制によるBEPS対処につき,次のような問題が生じているといえる 48

    (1)「関係」との関連

    上述のような「関係」の重要性の高まりは,企業グループの収益要因が大きく変化しているということであるが,このことが各国の課税ベースに反映されない。

    (2)企業...