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TP Controversy Report〈48〉 海外子会社の業績低迷と寄附金・移転価格

EY税理士法人  竹内 茂樹

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現地海外子会社が業績低迷に陥って,その移転価格対応で苦慮されている企業は従来から珍しくありません。もちろん,COVID-19パンデミック特有の対応については,昨年末にOECDから公表された「COVID-19に係る移転価格執行ガイダンス」を参考に対応をとることとなりますが,同ガイダンスの特有の扱いを受ける場合を除いて,一般的にはどのように考え,対応していけばよいのか,典型的な対応ケースを取り挙げて説明します。現地業績は低迷しているので,一般的に,我が国での移転価格上のリスクは比較的に低い状況といえるものの,処理を間違えると寄附金課税のリスクが発現します。

1 海外子会社が完全現地生産の場合 (ロイヤルティ取引のみ)

まず,海外子会社で完全現地生産を行い,海外子会社が販売も行う場合で,国外関連取引は海外子会社からのロイヤルティ受取りのみというケースについて考えてみたいと思います。

【図表1】

ロイヤル...