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実務家のための消費税 輸入・輸出・内外判定Q&A 第202回 外国法人から中間製品の製造委託を受けた場合の輸出免税の適用

 税理士 上杉 秀文

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当社は,外国法人のA社から主要原材料の無償支給を受けて中間製品を製造し,完成した中間製品をA社宛に輸出する業務を請負い,加工賃を受け取ります。

A社から支給される主要原材料は当社の名義でA社の取得価額を基に輸入の許可を受け,完成した中間製品の輸出も当社が原材料の輸入申告価額に加工賃を加算した金額により輸出の許可を受けます。そのため,当社は原材料を輸入して中間製品を製造して輸出している形式となりますが,当社がA社から受け取るのは加工賃のみです。

当社は,中間製品である貨物を輸出するものとして輸出免税の規定を適用すべきなのか,それとも非居住者に対する国内直接便益の享受のない役務の提供としての輸出免税の規定を適用すべきなのでしょうか。

なお,当社の経理では,加工賃を売上に計上し,原材料を輸入する際に納付した消費税は,立替金として仮払消費税等に計上し,当社の仕入税額控除の対象としています。

貴社の名義で主要原材料を輸入し,貴社の名義で中間製品の輸出を行っていますが,実質的にはA社の所有する主要原材料に対する加工を請負っているもので加工賃を対価とする役務の提供として判断すべきであると考えます。この場合の役務の提供は,非居住者に対する国内において直接便益を享受しない役務の提供に該当し,輸出免税の適用が受けられることになります。また,主要原材料の輸入を貴社名で行っており,輸入の際に納付した消費税は貴...