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国際税務研究 外国親会社との新薬共同開発研究に伴う課税関係

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 112頁)

設例

 日本の製薬会社であるA社は,B国の大手製薬会社であるC社(日本に恒久的施設を有しない。)が資本の80%余りを有するその日本子会社であるが,製品の大半はC社から提供を受けた特許やノウハウなどを用いたライセンス生産によるもので,C社に対しては,それぞれの製品の生産高基準によるライセンス料(使用料)とC社が世界的規模で統一的に行う広告宣伝に係る費用分担金を支払っており,支払使用料に対する所得税の源泉徴収のほか,税務調査の度にこれらの支払額に対する移転価格調査を受けているが,これまでのところ特に大きな問題は生じていない。

2 ところで,A社では,かねてより世界的に要望の強いある種の難病治療新薬の...