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[全文公開] arbitration(仲裁)

佐和公認会計士事務所  佐和 周

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本連載は,国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが,今回も 前回 に引き続き,移転価格税制に関係する一般的な用語です。

相互協議( MAP :mutual agreement procedure )は移転価格課税後の解決策の1つと位置付けられ,相互協議における合意に基づき対応的調整( corresponding adjustment )が行われた場合,移転価格課税に伴う二重課税は解消します。

しかしながら,相互協議はあくまでも日本と相手国等の権限ある当局( CA:competent authority )の間の協議であり,また必ずしも合意に至る義務はないため,交渉が決裂する可能性はゼロではありません 。

そこで,一部の租税条約には,相互協議に加えて,仲裁手続に関する規定も定められています。ここでいう仲裁(手続)は, arbitrationprocedure )と訳されますが,これは,課税事案に係る相互協議において,両国の当局が一定の期間内に合意に至ることができない場合に,申立者からの要請に基づき,未解決事項を第三者(両国の当局以外の第三者により構成される仲裁委員会)による仲裁に付託する手続を意味します。

なお, arbitration 自体は,移転価格税制の文脈に限らず,「仲裁」や「調停」という意味で,一般的に使われる用語です。

編集部より

本欄ご担当の佐和周先生には,国際税務入門者向けの解説 『新任社員のための国際税務の仕組みとポイント』』 (74頁)を昨年1月からご執筆いただいています。本誌P.1のWebセミナーと併せてご活用ください。

これまでの連載

第1回 国際税務とは(2020年1月号)

第2回 月刊「国際税務」の読み方

第3回 租税条約

第45回  外国税額控除制度

第6回 恒久的施設(PE)

第7回 外国子会社配当益金不算入制度

第812回  移転価格税制

第13回 国外関連者に対する寄附金

第1415回  タックス・ヘイブン対策税制

第16回 法人税から離れて①(申告)所得税の問題

第17回 法人税から離れて②源泉所得税の問題

第18回 法人税から離れて③消費税の問題

第19回 国際税務の使い方①出向者と出張者の問題

(今月は紙幅の都合により休載)

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