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税と環境(2)
PwC税理士法人 顧問 岡田 至康
PwC税理士法人 パートナー 白土 晴久
( 58頁)
今回の第2回目では,「国境炭素調整」の仕組みや課題と,7月にEUが公表した同制度導入の具体的規則案の内容のほか,今後の企業側の影響・対応などについて概説する。
Ⅰ 概説
1 はじめに
パリ協定は,各国が野心的な全体目標に合意した一方で,各国に,"国が決定する貢献(NDCs)"による個別の気候目標の設定を許容している。すなわち,このような国別ベースアプローチによって,"共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力" に沿って行動するとの原則が合意され,炭素排出削減目標レベルは各国間で異なり得ることとなっている。
そのため,特に温室効果ガスの排出削減に向けて強力な措置をとる国を中心に,いわゆるカーボンリ...