※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

新任社員のための国際税務の仕組みとポイント 第20回 国際税務の使い方②(海外子会社からの資金還流をめぐる問題)

 公認会計士・税理士 佐和 周

( 56頁)

連載 第19回 ~第21回は,国際税務の知識について,「実際にどのような場面で,どのように使うのか」を再確認しています。今回は,お金にまつわる問題ということで,海外子会社からの資金還流(配当または利息)を例として,これまで見てきた知識を再確認しつつ,新たな知識も少しだけ確認したいと思います。

1.配当による資金還流について考える

まず,配当の形で,海外子会社の資金を日本親会社に還流させるケースを考えます。

具体的には, 前回 と同様,日本親会社と海外子会社という登場人物について,日本の税制と海外の税制の別に,それぞれ検討します。

(1)日本親会社:日本の税制上の留意点

①外国子会社配当益金不算入制度の適用

まずは,日本親会社の立場で,日本の法人税のことを考えます。

日本親会社は配当を受領する立場ですが,連載第7回で見たとおり,「外国子会社」からの配当は,外国子会社配当益金不算入制度の適用により,原則として95%...