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日韓国際相続における手続きと税務の取扱い 【第3回】日韓民法の違いによる注意点

日本経営ウィル税理士法人 顧問税理士 親泊 伸明

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1 はじめに

今回は,「日韓民法の違い」について説明します。在日韓国人は,生活の本拠地は日本にありますが,国籍は韓国です。このように,法律問題の当事者などが2つ以上の国に関係する場合,どの国の法律が適用されるのかについて,日本では「法の適用に関する通則法」(以下,「通則法」という)が定めています。その36条によると,「相続は,被相続人の本国法による。」と規定されています。したがって,被相続人の国籍が韓国籍である場合,原則として韓国の民法が適用されます。

ただし,遺言で準拠法を指定することで,日本民法を適用することができます。「通則法」41条は,「当事者の本国法によるべき場合において,その国の法に従えば日本法によるべきときは,日本法による。」と定めています(反致)。

次に,準拠法を規定した韓国の「国際私法」を見てみると,その49条1項は「相続は,死亡当時の被相続人の本国法による。」とされています。...