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国際税務研究 日本支店の閉鎖に伴う日本子会社株式の圧縮記帳の取戻し課税

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 124頁)

設例

 外国法人であるA社は,永らく日本国内に支店を設けて,ここを拠点として日本国内をはじめとする東南アジア地域における事業活動を行ってきたのであるが,このたび諸般の事情により,日本支店を閉鎖し,その事業の全部をかつて当該日本支店が土地・建物の現物出資により設立した日本子会社で現在A社が全株式の70%を有するB社に移管した上で,残り30%のB社株式を有している日本法人C社(全くの第三者)に時価で譲渡して撤退することになった。

なお,B社が現物出資を受けた土地・建物は,それまでA社日本支店が自ら営んでいた賃貸ビル事業の用に供されていたもので,B社はこれを引継ぐ形で平成5年ごろにA社の100%子会社...