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■特別解説 『国際課税に係る執行状況について』

国税庁 調査査察部調査課 国際調査管理官 磯見 竜太

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1 国際課税に係る最近の取組みや動向

(1) 経済のデジタル化に伴う課税上の対応

イ クロスボーダー役務提供取引に係る消費税への対応

経済活動のデジタル化の進展に伴う課税上の問題については,OECDのBEPSプロジェクトにおいて,行動計画1「電子経済の課税上の課題への対処」として報告書がまとめられていますが,我が国では,これに関連し,平成27(2015)年度税制改正において,インターネットを介したデジタルコンテンツ(オンラインゲーム,音楽等)の配信などの「クロスボーダー役務提供取引」に関して消費税法が改正され,その役務提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するかの判定基準(内外判定基準)が,役務提供者の所在地ではなく役務提供を受ける者の所在地で判断することとされ,外国事業者と消費者間(B to C)の役務提供取引については外国事業者に消費税の申告義務が生じることになりました。

加えて1(5)で述べますように,令和3(2021)年度税制改正において,デジタルコンテンツのプラットフォーム事業者をも対象とした「特定納税管理人」制度が創設されるなど,上記のような外国事業者へ税務当局として対応していくための環境整備も図られました。

国税庁では,これまでもクロスボーダー役務提供取引に係る実態解明に取り組んで参りましたが,このような環境整備も踏まえつつ,外国税務当局とも連携しながら引き続き対応に力を入れて参ります。

ロ 経済のデジタル化に伴う新たな国際課税ルール策定に向けた取組み

また,経済のデジタル化に伴う課税上の課題への対応は,その後BEPS包摂的枠組みに引き継がれ,約140か国・地域によって議論...