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実務家のための消費税 輸入・輸出・内外判定Q&A 第207回 長期間ホテルに宿泊した場合の課税仕入れの認識時期

 税理士 上杉 秀文

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Q

外国法人のA社(12月決算)は,令和3年9月中に3月単位の課税期間の特例の選択と課税事業者の選択届出書を提出し,令和3年10月1日から課税事業者となります。

A社は,国内のホテルとの間で,9月21日から10月20日までの間に複数の者を宿泊させる契約を締結し,契約書には,宿泊者の記載はなく,部屋数と滞在期間のみが記載され,当社の関係者として事前に通知すれば宿泊ができ,宿泊代は一人一泊の定額と食事代等の追加実費で構成され,契約締結時に定額分を前払金として支払い,契約期間終了時に全期間分の食事代等の不足額の精算を行います。精算書では,各宿泊日ごとの追加食事代等の明細が記載されます。

当社では,定額分の支払時点では仮払金として経理し,契約期間終了時に仮払金と清算金の合計額を旅費交通費に計上することとしています。

この場合の宿泊契約は,物の引き渡しを要しない請負契約としてその役務の全部が完了した日(10月20日)に資産の譲渡等が行われているとして,旅費交通費に計上する金額は全て課税事業者となる10月1日~12月31日の課税期間における課税仕入れとして仕入税額控除の対象にしたいと考えています。この考え方で問題はないでしょうか。

A

1日単位ごとに料金が定められている場合の宿泊料金は,長期間ホテルに滞在した場合においても宿泊日ごとに役務の提供が行われ,その代金の精算がまとめて支払われるものに該当すると考...