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国際税務研究 外国法人の日本支店開設に伴う移管支払利子の源泉徴収

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 100頁)

設例

 一般事業法人である外国法人A社は,これまで日本国内に支店その他の恒久的施設(PE)を有しない非居住外国法人であり,日本に子会社等も有していなかったが,最近のアジア地域における業容の急速な拡大に伴い,その中心拠点となるべき日本支店の設置又は日本子会社の設立の必要に迫られることとなった。

ただ,新たに日本子会社を設立してこれへの業務移管を図ることは,これまでの対外契約関係の改訂や労務関係その他その解決に時間を要する難しい問題が少なくないので,子会社方式による業務移管は将来の懸案として,当面,問題が少ない支店方式を採用して業務移管を急ぐことになった。

日本支店の開設に伴い,これまでA社の本店において行われていたアジア地域関係の諸業務の殆んど大部分が日本支店に移管されるとともに,これに関連して今後生ずる税務関係についても,須すべからく日本税法の適用を受け,これに基づいて処理すべきことになるが,差し当たり急を要するものとして,日本支店の開設に伴い,本店から移管される支店業務に係る資産・負債のうちに含まれる第三国であるC国の金融機関(日本国内にはPEを有していない。)からの借入金債務に係る支払...