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国際税務の相談室☆移転価格税制・寄附金 グループ内役務提供(IGS)における移転価格課税と寄附金課税

東京富士大学 客員教授・税理士 伴 忠彦

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Q

当社は中堅メーカーで,複数の国外関連者を有しています。最近は,簡易な移転価格調査によって,グループ内役務提供(以下,「IGS」といいます)に係る適正な対価の収受漏れの指摘が増えていると聞きます。同業者からは,移転価格税制ではなく寄附金の損金不算入で指摘を受けたという話も聞きました。移転価格と寄附金では,課税結果に違いも生じてくると思いますが,適用の区別が判然としません。また,IGSの独立企業間価格は,国税庁の移転価格事務運営要領に,総原価を基礎とした算定方法が示されていますが,役務提供する社員ごとに給与も違い,補助部門の間接費の配賦計算等も細かいため,案件ごとに事前に計算することには,相当の事務負担があります。なお,国外関連者の財務事情から,対価はできるだけ低く抑えたいというのが,社内的な認識です。さらに,仮に比較的少額のIGSの否認があった場合,相互協議に係る長い期間と多額の費用を考えると,相互協議を申し立てない可能性も高いと思っています。IGSの税務対応について,次の点をご教示ください。【質問1】そもそも,IGSに移転価格課税と寄附金課税のいずれが適用になるのかは,どのような基準...