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[全文公開] 書評 下岡 郁著 『トラブルシューティング 元中国駐在員・神岡浩二の奮闘記』 (2022年1月13日刊行/幻冬舎)

( 99頁)
  

最初にこの本の著者を紹介します。著者は,中国出身で,日本の税理士資格を取得し,現在,日中間の税務等のコンサルタントの第一人者として活躍しています。

中国への投資は,今,脱中国としてアセアン諸国に移転するのではという憶測がありますが,中国やインドへの投資は減少していません。他方,脱中国の原因といえる中国の人件費等の高騰について,著者から直接聞いた話では,中国で管理職として能力ある人を雇用すると,人件費は相当に高いということです。

この本は,小説風の書き方をしていますが,単なる税制等の制度の紹介ではなく,現場における声が書かれていて,中国投資の渦中にいる人々の雰囲気がよく分かる内容です。

税務の世界ではこの種の本はほとんどありません。中国投資に限らず,外国に投資を展開している方,または投資を検討している方にはぜひ一読されることをお勧め致します。

(評者 国際課税研究所首席研究員 矢内一好)