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[全文公開] domestic news 金融取引,費用分担契約のOECDガイドラインに対応した「移転価格事務運営要領」改正案のパブコメを公表

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国税庁は3月14日,e-GovのHPにおいて 「『移転価格事務運営要領』(事務運営指針)の一部を改正する案」に係るパブリックコメント を公表した。同パブコメについて,4月12日まで意見募集が行われている。

今回の事務運営指針の改正案では,OECD移転価格ガイドラインの「第8章 費用分担契約」の改訂と,「第10章 金融取引に係る移転価格の側面」の追加に対応した取扱いの明確化などの見直しが検討されている。

このうち,金融取引に係る事務運営指針の見直しについては,調査における取扱い(指針3-7)や,独立企業間価格の検討を行う場合の留意事項(同3-8)などについて改正案が示されている。例えば,「取引の当事者に係る信用力の比較可能性を検討する場合には,当該当事者の信用格付けその他の信用状態の評価の結果を表す指標を用いることができること」(同3-8(2))や,「非関連者である銀行等に照会して取得した見積り上の利率又はスプレッドのように現実に行われる取引に依拠しない指標は,市場金利等には該当しないこと」(同3-8(5))など,OECDのTPガイドラインに対応した様々な内容が示されている。

また,今回のパブコメでは,上記の事務運営指針に加えて,「別冊 移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」についても改正案が示されている。参考事例集の改正案では,「金融取引」に係る事例内容の変更が検討されており,「【事例4】(独立価格比準法に準ずる方法を用いる場合)<前提条件2:金銭の貸借取引の場合>」の内容の見直しと,「【事例4】に<前提条件3:債務の保証の場合>」,「【事例7】(寄与度利益分割法を用いる場合)に<前提条件4:キャッシュ・プーリング>」の内容を新たに追加する案が示されている。

なお,事務運営指針案における経過的取扱いの中では,これらの改正については「令和4年7月1日以後に開始する事業年度分の法人税の調査又は事前確認審査について適用」し,同日前に開始した事業年度分の調査等については,従前の例によることも示されている。