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国際税務研究 外資系内国法人が決算未確定のまま法人税の確定申告書を提出した場合の取扱い

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 112頁)

設例

 内国法人であるA社は,その株主の大半が外国法人及び非居住者である,いわゆる外資系内国法人であるが,とりわけA社の発行済株式の総数の3分の1強を有する筆頭株主は,B国内に主たる本拠地を置く匿名組合であるC投資ファンドであって,役員人事や業務運営方針はもとより,決算の確定,剰余金の配当その他株主総会に議案として提出してその承認を受けることを要する重要事項は,すべて,いわゆる「ものを言う株主」であるC投資ファンドの事前同意がなければ何一つ決定することができないという常況にある。

これは,定時株主総会の招集時期についても同様であって,株主の大半が外国法人及び非居住者(C️投資ファンドを含む。)である上に,会計監査人設置会社であることもあって,定時株主総会の招集に決算期末から3カ月以上を要することが常況であるところから,A社としてもこのことを理由として,確定申告書の提出期限について,本来は事業年度終了の日の翌日から2か月以内であるところを最長4か月以内とする延長特例の承認を受けているが,この度も,既に定時株主総会に提出すべき会計監査人の監査を経た決算原案(財務諸表)は出来上っているものの,...